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2023.04.13お知らせ

デトックスプロジェクトの調査結果について

有機生活では、日頃の生活で体内に取り込んでいるネオニコチノイド系農薬の量を調べ、農薬を使用している野菜を食べないことによって、体内のネオニコチノイド系農薬がどのように変化するのか、以下のように検証しました。

検証

2つのグループで比較検証する

(1) Aグループ(普段、スーパーなどで野菜を購入して食べている10名)

①最初に尿検査をし、尿に含まれているネオニコチノイド系農薬を中心に農薬成分を調べる。

②1か月間有機野菜を食べてもらい、もう一 度尿検査をし、どれだけ農薬成分が減るのか調べる。
 (有機生活提供:野菜・米・味噌・マヨネーズ)

(2) Bグループ(普段から有機野菜を購入して食べている10名)


①最初に尿検査をし、尿に含まれているネオニコチノイド系農薬を中心に農薬成分を調べる。

②普段通りの食生活を続けてもらい、もう一 度尿検査をし数値の変化があらわれるのか調べる。

検査機関

一般社団法人 農民連食品分析センター 

検査対象成分

ネオニコチノイド系農薬7成分と類似する7成分
測定は0.01ppbまで
単位ppbについて

<検証1>最初に尿検査をし、尿に含まれているネオニコチノイド系農薬を調べる

(10名のうち2名が尿サンプルが少ない、検 尿の出し忘れにより1か月の検証ができな かったため8名。)

普段スーパーなどで買った野菜を食べているAグループ

普段有機野菜を食べているBグループ

<検証2>
①Aグループ
1か月間、有機野菜を食べてもらい、もう一 度尿検査をし、どれだけネオニコチノイド系農薬が減るのか調べる

期間 1ヶ月 2022年1月11日〜2月10日

比較:同じグループの1回目との比較

②Bグループ
普段通りの食生活を続けてもらい、もう一 度尿検査をし数値の変化があらわれるのか調べる。

比較:同じグループの1回目との比較

尿検査の結果からわかること

Aグループ

Aグループにおいては、1回目と2回目の農薬全14成分で80%減少。

そのうちネオニコチノイド7成分では、福島県有機農業ネットワークでの事例と同じように減少(78%減少)する結果になった。

Bグループ

Bグループにおいて、1名1回目の尿検査でのジノテフランの数値が高かった。理由としてお正月を実家で過ごされ有機食材を食べられなかったことが原因かもしれないとのこと。この方は2回目の検査ではジノテフランの検出がなかった。そのジノテフランを除くと、1回目、2回目でさほど変わらない結果となった。

結果として

普段農薬を意識せずスーパーなどで慣行野菜や調味料などを摂っているAグループでは検出されたネオニコチノイド2成分(アセタミブリド、イミダクロプリド)が、普段有機野菜を食べているBグループでは、1回目から検出されなかったこと、Aグループでは、明らかに体内の農薬成分が減少していることから、意識して有機野菜や食材を食べることによって、新たに農薬成分を取り入れることがなくなり、体内の農薬成分を減少させることができると考えられる。

しかし、普段から有機野菜などの食材を選んでいるBグループでは、1回目と2回目の検査数値がさほど変わらなかったことから、すべての食べ物から農薬を使用していない物を選ぶことは難しく、また食べ物以外にも身の回りに体内に取り込んでしまう農薬があることがわかる。

検査で、2回の尿検査からジノテフランが検出されなかった方の食事で気をつけていることを聞いてみました

・期間中外食をしていない。
・普段から有機食材のみを使用し食事をしている。
・飲み水は水道水だが鉄瓶で沸かし、ビタミンC100%純粋の粉末を 小さじ1杯入れてそれだけを飲んでいる。
・酵母エキスとグルタミン酸ナトリウムは摂らないようにしている。

(デトックスプロジェクト参加者)

環境脳神経科学情報センター黒田先生からのコメント

ネオニコチノイド系殺虫剤が脳発達に悪影響を及ぼすことは、動物実験で明らかになってきていますが、ネオ ニコチノイド系以外でも有機リン系殺虫剤が日本でまだ多量使用されていることも重大な問題なのです。

有機リン系殺虫剤クロルピリホスは、脳発達に悪影響を及ぼすとして、欧米で、ほぼ禁止されているのに、日本では未だに使用され続けています。有機リン系についても、有機食材を食べると、尿中の有機リン系農薬が減少することがわかっていますので、有機食材をおすすめします。

(デトックスプロジェクトでの検査結果について)Aグループ、Bグループともに、そう高くない値でした。それに有機食材を食べると、ほぼ値が減少していました。日常的に食事に気をつけておられる方なのでしょう。この程度の検出は、そう気にすることはないと思いますが、さらに気 をつけていかれてはいかがかと思いました。
有機食材を食べると、ネオニコだけでなく、有機リン系農薬や他の 農薬も避けることができます。あまり神経質になるとストレスもたまりますが、できるだけ有機食材を優先した 生活を進められると良いのではないでしょうか。
木村―黒田純子:医学博士・環境脳神経科学情報センター副代表
環境脳神経科学情報センター

デトックスプロジェクトを終えて

食事を有機食材に切り替えることで、尿から出るネオニコチノイド系残留農薬が約80%減る効果を得られ、安全な食を考える上で有機野菜の重要性を改めて考えさせられました。

多くの人にジノテフランが検出され、農産物から体内に入る以外に、農地から川に流れ水道水は大丈夫なのか、今後注意が必要なのではないかと思います。また、市販の殺虫剤などにも使用されており、日常生活を送っていても体に入ってくることも危惧されます。

消費者に十分知らされないまま、農薬使用基準が何十倍、何百倍にと変えられています。
今のこどもたち・ 未来のこどもたちへの影響を少しでも減らすためにも、これで終わりではなく、この結果や取り組みを多くの人に知ってもらい、このようなプロジェクトが広まってくれるように願っています。

この問題は、生産者だけの責任ではなく、地域・県・国の社会全体で取り組まないといけないと思います。
有機生活で販売する者として、安全な生産に挑戦する生産者、有機農家の支えとなり、消費者の方々とコ ミュニティの輪を広げて、今後も問題に取り組んでいきたいと思います。
(有機生活 店長 岩渕亮)

有機生活の野菜は、有機JAS認証取得の野菜、栽培期間中農薬、化学肥料不使用の野菜です。一部、減量栽培の野菜・果物もあります。

<参考>

ほぼ全員に検出 されたジノテフランとスルホキサフロルとはどのようなものか

ジノテフランは、ネオニコチノイド系農薬、スルホキサフロルは、スルホキシイミン系農薬で、有機リン系農薬も含め、いずれも神経伝達作用を阻害し神経系を抑制することにより殺虫効果をもたらす殺虫剤です。

どのような特徴を持つのか、本当に人に影響がないのか、2017年12月に日本弁護士連合会が農林水産大臣に送った意見書から一部抜粋してご紹介します。

全文はこちらからhttps://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2017/opinion_171221_2.pdf

どのような農薬なのか?

ネオニコチノイド系農薬は,有機リン系農薬に代わる新農薬として1990年代に開発された農薬で,「ネオニコチノイド(新しいニコチン様物質)」 との名前が示すように,たばこの有害成分であるニコチンの殺虫作用をまね て開発されたものである。

その殺虫作用は,昆虫の中枢神経の伝達物質であ るアセチルコリンの受容体に結合し,アセチルコリンの働きを阻害すること によって,昆虫を死に至らしめるというものである。

また,ネオニコチノイ ド系農薬の特徴は,1浸透移行性,2残効性,3神経毒性にある。
浸透移行性があるため,根から吸収された農薬は,植物内部に取り込まれて葉,茎, 花,果実にまで行き渡り,殺虫効果を持続する。農薬が植物内に深く浸透す るので,洗っても落とすことができない。

また,残効性が高く,害虫の神経 を直撃して一網打尽に殺虫するので,農薬使用量が少なくて済み,減農薬栽 培に多用されているのが実情である。

人には影響はないのか?

長文になりますが、人への影響に触れている点を抜粋します。

ネオニコチノイド系農薬のヒトの健康への影響
ネオニコチノイド系農薬は選択毒性が高く,しばしば「昆虫には強毒性ヒトには弱毒性」といわれるが,これは正しくないとの重要な指摘がある。

神経伝達物質アセチルコリンは,ヒトでは自律神経,末梢神経に多いが, そればかりでなく,記憶や学習,情動など中枢神経でも重要な働きをしてい ることが知られており,さらに,近年,免疫系や脳の発達にも重要な働きをしていることが分かってきている。
このため,ネオニコチノイド系農薬のヒ トの健康への影響,とりわけ成長過程にある子どもの脳の発達への影響が懸念されている。

まず,ネオニコチノイド系農薬は血液脳関門を通過することがわかっている。ネオニコチノイド系農薬7種について,マウスの腹腔内に投与して,そ の後,脳,肝臓,血液中に検出されるかを調べたところ,全ての臓器に数分から数十分以内にネオニコチノイドが高い濃度で検出されたことが報告され ている(Ford KA,Casida JE,Chemical Research in Toxicology,2006,19:944-951,19:1549-1556)。


また,ヒトの遺伝子を用いた実験系においてクロチアニジン,イミダクロプリドを投与したところ,ヒトのニコチン性アセチルコリン受容体に結合し,ヒトの脳内で重要な働きをしているアセチルコリンの作用を撹乱することが確認されている(Lip,Ann J,Akk G,(2011)J Neurosci Res,89:1295-130

アセタミプリド,イミダクロプリドについては,ラットの発達期培養神経細胞で 1 マイクロモル以上の濃度において,ニコチン性アセチルコリン受容 体にニコチンに極めて類似した興奮性影響を及ぼすことを示す研究が報告さ れている(木村-黒田純子ら,PLOS ONE,2012年2月29日)。

これは, ネオニコチノイド系農薬がヒトの健康,特に脳の発達に有害な影響を及ぼす かもしれないことを初めて示したものである。このような研究結果に鑑み, 欧州食品安全機関(EFSA)は,アセタミプリド,イミダクロプリドは, 発達中のヒト神経系に影響を及ぼす可能性があるとの懸念を表明した(20 14年1月)。

さらに,国立環境研究所の前川文彦氏らは,妊娠中期にあたる妊娠6日目 から離乳直前の出産後21日目まで母親マウスに水に溶かしたアセタミプリ ドを経口で10mg/kg体重/日(高用量群)と1mg/kg体重/日(低用量群)ず つ35日間投与し,子どもが成長してからマウスの空間学習行動,性行動, 攻撃行動,不安行動などを観察するための行動試験を行い,どの行動に特に影響が現れるかを検討した。

その結果,発達期にアセタミプリドに曝露され た高用量群・低用量群の雄マウスで選択的に不安行動,性行動,攻撃行動に 影響が現れたことから,ヒトへの影響を示唆する論文を発表している(前川 文彦ら,Frontiers in Neuroscience,2016年6月3日)。

このほかにも,ヒトの健康への影響を示唆する複数の報告が国内外で発表 されている。このように,ネオニコチノイド系農薬によるヒトへの健康影響 については,それを示唆する重要な報告があり,とりわけ子どもの脳の発達 への影響は不可逆的影響をもたらしかねない。

ジノテフランは、思いつく野菜のほとんどが使用可能であるだけでなく、シロアリ防除、ペットのノミ・ダニ防除、家庭用殺虫剤などに使われています。

スルホキサフロルは、商品名トランスフォームフロアブル、エクシードフロアブルという農薬です。トランスフォームフロアブルは果物や野菜、エクシードフロアブルは主に稲に使われ、大豆、枝豆にも使用できるもので、稲での散布回数は3回まで、収穫7日前で使用できると書かれていました。

また、Aグループ、Bグループどちらからも検出されているスルホキサフロルは、新しいネオニコチノイド系農薬で、出荷量が急増している農薬です。2022年8月には残留基準値が改定され、改定前に比べてほぼ倍増しています。稲、キャベツや大根などの野菜、柑橘、梨、りんごなどの果物が適用作物です。

作物に使われた農薬はいつまで残っているのか?

散布により作物に付着した農薬成分は、降雨により洗い流されたり、太陽光や微生物の分解により短期間の間に減少・消失します。また、吸収された農薬成分は植物体内で分解されて減少します。

作物に施用された農薬の挙動は、有効成分や、施用方法によって異なります。散布された農薬は、降雨により洗い流されたり、蒸発したりして減少し、また、太陽光や水、微生物により分解されます。農薬の一部は、吸収され植物体内に入り植物の持つ酵素で代謝分解したり、生育に伴う植物体の肥大によって薄まります。環境中に出た農薬も同様に加水分解・微生物分解・光分解により減少・消失します。

一方、株元処理など土壌処理された農薬の一部は、根から吸収され植物体内に入り、代謝分解したり、薄まったりします。土壌中に残った農薬は、加水分解や、微生物により分解されます。

農薬は、農薬取締法により作物ごとに使用時期、使用回数、使用量が定められていますが、例えば使用時期に『収穫○○日前まで』といった制限をつけるのは、このような農薬の分解・消失の現象に従って、収穫時に残留が残留基準値以下になるようにするためです(図2参照)。

(農薬工業会) https://www.jcpa.or.jp/qa/a2_05.html

「農薬は、正しく使用すれば、作物に残らないので安全だ」と聞いたことがあります。「作物に残らない」というのは、無くなる(0になる)のではなく、「収穫時に残留が残留基準値以下になる」ということです。残留基準値以下であっても、それが体内に蓄積されていくことや、人の個体差は考慮されていません。

農薬残留基準値とは

食品中に残留する農薬などが、人の健康に害を及ぼすことのないよう、厚生労働省は、全ての農薬、飼料添加物、動物用医薬品について、残留基準を設定しています。 残留基準は、食品安全委員会が人が摂取しても安全と評価した量の範囲で、食品ごとに設定されています。

(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/zanryu/index.html

残留基準値はどのような考えに基づいて設定されているのか?

作物残留試験の結果を用いて、その農薬の様々な食品を通じた長期的な摂取量の総計が許容一日摂取量(ADI)の8割を超えないこと及び個別の食品からの短期的な摂取量が急性参照用量(ARfD)を超えないことを確認した上で、定められた使用方法に従って使用した場合に残留し得る農薬の最大の濃度が残留基準値として設定されます。

(農薬工業会)https://www.jcpa.or.jp/qa/a6_01.html

安全と評価した量を残留基準と定めていますが、その農薬残量基準は、世界によって違います。

農薬残留基準が世界各国と比べて極めて緩い日本

茶、コメ、ブドウ、リンゴ、イチゴ、メロン、梨、温州ミカン、柑橘類、甘藷、長芋、柿、桃の13種が、海外の16ヵ国の農薬残留基準と比較した表が掲載されていますが、海外に比べて日本は明らかに農薬残留基準が緩いのです。表のピンクの部分は日本よりも残留基準が厳しい国ですが、全体がピンク色になっています。
ネオニコチノイドやグリホサート、有機リンなどの残留基準が日本で緩いことは知っていましたが、それ以外の農薬もほとんど世界レベルよりは緩い!
つまり、私たち日本人は、多種類の農薬に日常曝露していることになります。

(環境脳神経科学情報センター)https://www.environmental-neuroscience.info/pesticides/entry44.html

尿中のネオニコチノイド系農薬検査について

尿に含まれるネオニコチノイド系農薬を検査してみたいという方へ

私たちが普段の暮らしの中で、どの程度こうしたタイプの農薬を摂取しているのかを知るために、農民連食品分析センターとデトックス・プロジェクト・ジャパンと共同で尿中に含まれるネオニコチノイド系農薬7成分などを検出する検査を受け付けています。
詳細・お申し込みはこちら

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